フランス語の名言 · Les mots de Chinami
Pierre Joseph Proudhonピエール=ジョゼフ・プルードン
« L'anarchie, c'est l'ordre sans le pouvoir. »
アナーキーとは、権力なき秩序である。

Bonjour! 千奈美です!
今回ご紹介した名言は、フランスの思想家ピエール=ジョゼフ・プルードンの言葉。
日本も世界も混乱している、いや、落ち着いていた時代はあるのかわかりませんが、政治的混乱のさなか、今回はこの言葉を選びました。
「アナーキー」と聞いて、まず混乱や暴力、無秩序な状態を思い浮かべます。
街は荒れ、誰もが好き勝手に振る舞い、ルールは崩壊している──どちらかというと負のイメージですが、その一方で、腐敗する社会への反抗心を感じ、魅力的な言葉でもあります。
どちらにしても、尖っていてマイノリティで、孤独。
いつの世も、アナーキーの存在があるからこそ、社会は保たれているのではないかなとも思っていましたが、なんでも平均化された今の時代、アナーキーはいるのだろうか?
プルードンは言います。
「アナーキーとは、権力なき秩序である」。
権力なき秩序を考えてみると、私たちはすでに「プチ・アナーキー」な世界で日々を生きていますよね。
たとえば、誰も監視していないエスカレーターの右側(地方によっては左側)。
明文化された法律があるわけでも、罰金を取られるわけでもないのに、だいたい皆、なんとなく立ち位置を守っています。
そこに警察はいない。
あるのは「まあ、そういうもんだよね」という空気だけだ。
これが意外と強い。
プルードンが言う「権力なき秩序」ってこういうことなのでしょうか。
上から「並びなさい!」と怒鳴られなくても、人は案外ちゃんと並ぶ。
むしろ怒鳴られると、急に並びたくなくなってしまいます。
権力は秩序をつくるが、同時に反抗心も量産する。
プルードンはその非効率さに、うっすらうんざりしていたのかもしれません。
こうして考えてみると、プルードンは、人間を信用しています。
人が自分たちで秩序を編み出す可能性を信じた性善説の人だったのだろうなと思いました。
怒られなくても、ちゃんとやれると思うんだけど?
アナーキーとは、案外、行儀のいい思想なのかもしれません。
もちろん、権力なき秩序は不安定で、手間がかかります。
対話が必要で、失敗も起こるはず。
それでもなお、この言葉が魅力的なのは、秩序とは管理されるものではなく、関わり合いのなかで育つもので、その関わりの中心である人間同士の信頼がベースだからだと思うのです。
プルードンのおかげでアナーキーという言葉への認識が変わり、いつの世も大切な考え方なのではないかと、そんな気さえするのですが、それだとアナーキーがメインになってアナーキーではなくなる??
そんな禅問答を繰り返す私でした。
ではまた。
Chinami