フランス語の名言 · Les mots de Chinami
Eugène Boudinウジェーヌ・ブーダン
« Dessinez, dessinez, il n'y a que ça dans la peinture. »
素描をしなさい、素描を。絵画で重要なのはそれだけだ。

Bonjour! 千奈美です!
今回ご紹介した名言は、フランスの画家ウジェーヌ・ブーダン(Eugène Boudin)の言葉です。
素描とは、対象をよく見ることから始まります。
形をとらえ、光の向きを感じ、目の前にあるものを、自分の手で確かめるように線にしていく作業。
つまりそれは単なる技術ではなく、「見る」という行為そのものを鍛える営みです。
この言葉を見つけた時思ったことは、私は日常の中で、どれほど丁寧にものを見ているかな?ということ。
春の桜はいろんな種類があるのに、私には全部「桜」。
空の色ひとつをとっても、「青い」とひとことで済ませてしまいがちだけど、朝方のしらじら開けていくぼんやりした水色、昼間のカラッとしたビビットな青空、夕方は赤い夕陽にあいまって紫がかってきます。
ブーダンが愛した空は、そうした微細な変化を見逃さないまなざしから生まれていたのでしょう。
彼が若きモネに戸外で描くことを勧めたのも、同じ理由ではないでしょうか。
自然の中で、刻々と変わる光と向き合いながら、ひたすらに手を動かす。
真摯に、自然に向き合う中で見えてくるものは何だったのでしょうか。
自然という対象に向き合うようで、見えてくるのは、そこに対峙していく、もしくは同調していくのかもしれない、自分自身の姿だったのかもしれないなと思いました。
それは、なぜかというと、この言葉の「それだけだ」という言葉。
言い切る言葉には、ある種の厳しさがあります。
同時に、それは迷いを断ち切るための優しさでもあるように感じられます。
あれもこれもと求める前に、まずは目の前のものをよく見て、描くこと。
自分にシンプルに向きあうこと。
その単純な繰り返しの中にこそ、表現の本質があるのだと教えてくれているのではないでしょうか。
もしかすると、この言葉は絵画に限ったものではないのかもしれません。
本当に大切なのは、地味で、繰り返しで、ときには退屈に思えるような基礎と自分への内省の積み重ね。
あるがままの姿にシンプルに向き合う姿勢。
他者へも自分へも。
そう考えると、「素描をしなさい」という言葉は、少し違った重みをもって響いてきます。
世界と自分に向き合う姿勢を、丁寧に整えなさい、そんな風に聞こえるのです。
ではまた。
Chinami