Thermae Siodome
絵画・彫刻・考古遺物でたどる古代ローマと日本の“お風呂文化”
古代ローマの公共浴場(テルマエ)は、その高い建築・土木技術で知られるとともに、当時の豊かな暮らしぶりの象徴として、国内外から高い関心が寄せられています。日本でも公衆浴場はこよなく愛され、家庭内の風呂が当たり前になった現在でも、東京だけで約700軒の公衆浴場が存在します。
本展は、日本における古代ローマ研究の第一人者である青柳正規氏、芳賀京子氏の監修と、マンガ『テルマエ・ロマエ』で知られるヤマザキマリ氏のご協力で、古代ローマの人々の生活を“お風呂文化” を中心に紹介するものです。絵画・彫刻・考古遺物といった100件以上の作品と映像や再現展示を通して、古代ローマをより身近に感じていただくことができるでしょう。
本展の開催館には、国内有数の温泉地のある地域が含まれています。それぞれの地域に残される地方色豊かな歴史と文化にも触れながら、 『テルマエ・ロマエ』の主人公・ルシウスが浴場を通して日本とローマを往復したように、それぞれの浴場文化を体感いただけましたら幸いです。(プレスリリース・HPより)
【見どころ】
1. イタリア・ナポリ国立考古学博物館から《恥じらいのヴィーナス》 や《アポロとニンフへの奉納浮彫》など、30点以上が来日!
2. 映像や模型、再現展示を通して古代ローマと日本の浴場文化を分かりやすくご紹介!
3. 温泉や銭湯から近年脚光を浴びるサウナまで、国内のお風呂文化の歴史と地域性にも着目!
【セクション解説】
1 古代ローマ都市のくらし
古代ローマ人は、古くは質実剛健を旨とし、農業こそが富の正しい源であると考えていました。しかし、地中海に勢力を拡大して圧倒的な富を手に入れると、その生活も変容していきます。帝政初期には、ごく一部の特権階級と「大衆」の格差はかつてないほどに広がりました。皇帝たちは大衆の不満を解消すべく、食糧の施与や、剣闘士試合、演劇を含む見世物など娯楽の提供という施策をおこないました。テルマエも大衆からの人気獲得に大いに役立ちました。庶民たちのくらしは特別な日の見世物と、毎日の仕事の後のテルマエによって彩られていました。
2 古代ローマの浴場
公共浴場のルーツには、自然の温泉のほかに、古代ギリシャの運動施設の水風呂や、医神の神域の入浴施設がありました。ですがそれを大衆の娯楽のために、驚くほどの規模へと発展させたのは古代ローマ人でした。ギリシャでは若者たちは肌に油を塗り、全裸で運動したため、運動後にはストリギリス(肌かき器)で汚れを落とし、水で身体を洗う必要がありました。ギリシャでは女性の入浴の場は自宅に限られていましたが、ローマでは女性もテルマエに通うことができました。水や湯をふんだんに使用するテルマエは、水道をはじめとする高い建築・土木技術に支えられていました。
3 テルマエと美術
テルマエは、大衆が美術品を間近に見ることができる場でもありました。床には水に強いモザイクが敷かれ、1〜2世紀には白黒モザイク、それ以降は多彩モザイクが好まれました。 ローマの大規模なテルマエには数多くの大理石彫刻も飾られました。皇帝や浴場の建設者の肖像のほかに、神々の像や古代ギリシャの有名作品のコピーが、壁面のニッチや円柱の間の台座の上に並びました。浴場のルーツのひとつであるギュムナシウム(運動施設)にちなんだアスリート像や、それを守護するヘラクレスの彫像など、浴場にふさわしい主題が選択されました。
4 日本の入浴文化
本展の最後の章では、国内に残される地方色豊かな温泉文化にも触れながら、日本のお風呂の歴史を概観します。日本において入浴の習慣が定着したのは江戸時代、家庭内の風呂が当たり前になった現在でも、東京だけで約700軒もの公衆浴場が存在しています。温泉地へ旅することや近年のサウナブームも、日本人がお風呂好きな民族であることに起因するのでしょう。『テルマエ・ロマエ』の主人公・ルシウスが、浴場を通して日本とローマを往復したように、古代ローマと日本のそれぞれの入浴文化を体感ください。
会期
2024年4月6日(水) ~ 6月9日(日)
*会期中、一部作品を展示替え
前期:4月6日(土)〜5月7日(火)/後期:5月9日(木)〜6月9日(日)
休館日水曜日
*6月5日は開館開館時間10時~18時(入館は午後5時30分まで)
*5月10日(金)、6月7日(金)、6月8日(土)は夜間開館のため午後8時まで開館(入館は午後7時30分まで)
公式サイト
Chocolat!第628回で、パナソニック汐留美術館主任学芸員の萩原敦子さんのお話をご紹介。