Henri Cartier Bresson
20世紀を見つめた写真家が、21世紀に遺したメッセージ
カルティエ=ブレッソンは、1947年のマグナム設立以降、撮影に専念するため、暗室作業を信頼できるラボに全面的に任せていましたが、本展ではひとつの章を、本人がプリントした、数十点のヴィンテージ・プリントの紹介にあてています。「カルティエ=ブレッソンの灰色」と呼ばれる独特の中間調のトーンは、この貴重なヴィンテージ・プリントにとりわけ特徴的です。カルティエ=ブレッソンのヴィンテージ・プリントがまとまって展示されるのは、日本では初めての機会となります。
撮影のさまたげになるという理由で、カルティエ=ブレッソンはほとんど自らの肖像を撮らせなかったといいます。本展では、幼少期の家族写真や、各地を取材したときの記者証、さまざまな書簡や手稿など、人間カルティエ=ブレッソンを伝えてくれる多くの初公開資料が展示されます。
少年時代から美術に親しんだカルティエ=ブレッソンは初め画家を志し、アンドレ・ロートのアトリエで学びました。また73年頃からはほとんどデッサンに専念するようになります。本展では初期の貴重な油彩に加えて、数十点のデッサンが展示されます。「写真は瞬間の行為であり、素描は瞑想だ」と語ったカルティエ=ブレッソン。油彩や素描には、彼の眼がどのように世界を捉えようとしていたのか、その秘密の一端をうかがうことができるでしょう。
Chocolat!第44回で本展の紹介をしています。