Les rencontres de Mayuko!(まゆこがいく!)

竹田純

2018-09-14 · 第561回のエピソードを聴く

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コーナー6回目にして初の男性ゲスト、バレエダンサーの竹田純さんです。
現地で身につけたフレンチバレエの基礎練習「バーオソル」(Barre au soI)を、日本人向けにアレンジした「床バレエ」として教えていることを知り、そもそもフレンチバレエとは何なのか、床バレエをどんなふうに生み出したのか、お話を聞いてきました。ご自身も「お喋り大好き!」とおっしゃるように、とても楽しいトークが繰り広げられました!

竹田さんはバレエをはじめたのが17歳、とバレエダンサーとしては遅いスタートだったそうですが、バレエに興味をもったきっかけは何だったんでしょうか?

僕はもともとジャズダンスを踊っていて、その先生が「バレエをやれば何でも踊れるようになる」と言った言葉がきっかけです。そんなにいいものがあるんだったらやってみよう、という単純な理由でした。

後にバレエでフランスに行かれるわけですが、フランスという国を意識したのはやはりバレエからですか?

そうですね、ジャズダンスをやっていた頃はアメリカに行っていました。だから最初は、バレエを勉強するのも、馴染みのあるアメリカや英語圏の国に行きたかったんですね。でも、東京バレエ団に所属していたときに、ヨーロッパのバレエ団の人の踊りや生活を見る機会があって、少しずつヨーロッパのバレエというものを意識するようになっていました。そんな時にちょうど東京バレエ団のツアー公演でベルギーやフランスを巡ることになって、現地で見た建物がきれい過ぎて、本当にびっくりしたんです。パリではシャトレ劇場で公演したんですが、フランスっていいなぁ、と心に残ったのが最初のきっかけになるかもしれません。

その後、市販されている世界各国のバレエ学校のDVDを見比べていた時に、フランス国立バレエ学校のかたの踊りがいちばん丁寧できれいで、美しいと感じました。生まれもったボディの美しさはもちろんなんですが、それだけじゃなくて、技術や踊り方が全然違ったんです。これはちゃんとした教育があると感じて、本格的にフランスにバレエを学びに行きたいと思うようになりました。

もちろんDVDだけでは決められないので、東京バレエ団に3カ月のお休みをもらって、ひとりで70キロのバッグを抱えて、まずアメリカに渡り、スペインのマドリッドからバルセロナに入り、そしてモンペリエからカンヌ、最後にパリを巡って世界のバレエ学校を見てまわりました。

どのバレエ学校も素晴らしかったんですが、パリは大きい街だからそれだけいい先生も集まるし、オペラ座の公演もみられるし、やっぱり僕はパリの街が好き、というところもあって、決めました。日本に戻って3カ月後に東京バレエ団を退団させていただいて、ポンっとパリに行ってしまったんです。

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言葉はどうされたんですか?

全然勉強していなかったので、わかったのはun, duex, trois, quatre, cinq, six, sept, huit…くらいだったんじゃないかな。僕は「とりあえず行っちゃえ!」って考える前に行動しちゃうタイプなので、 まず行くことが大事だと思っていたんですね。

では行ってからが大変だったのでは...

もちろん大変だったと思いますが、そこはそんなに意識していませんでした。でもやっぱり海外で1人で生活するには、電気屋さんとか水道屋さんと話す必要もあるし、日本のように便利なサービスがあるわけではないし、しかも慣れないうちに電話で喋ったり聞き取ったりするのはとても難しいことですから、そこはすごく苦労したはずです。

言葉がわからないままバレエのクラスを受けるのは大丈夫でしたか?

幸運にも大学に通うのとは違って、バレエは表現方法が踊りだし、もともとバレエ用語はフランス語というのもあって、先生が何を言っているかをわりと察しやすかったんです。実際、留学しているバレリーナたちもフランス語を話せない子は多かったですね。

僕も最初は2年目もパリにいると考えていなかったので、1年目は英語で通しました。自然の流れでこれからもパリにいることになりそうだと思ったときに、じゃあ勉強しなくちゃ、とそこから独学でフランス語を勉強しはじめました。よく売っている肌色の分厚いトレーニングペーパーを3カ月でガーッと集中してやって文法を終わらせて、それからはもうとにかく喋る練習。

パリに1年いてヒアリングは慣れていたので、とにかく忍耐強い友だちをつくりました。なんでかって、パリの人は忍耐強くないんですよね。だから優しい友だちを仕留めて、カフェでずっとお喋りしているうちにだんだん話せるようになっていきました。

でもフランス語ってものすごく難しいから、3年くらいは言葉の面ではけっこう大変でした。それでも住むぶんにはまわりに助けてもらえていたし、4年以上経ってしまえばもう問題なくなりました。お気づきの通り、僕はお喋り好きだし、みんなにとけ込みたいという気持ちが強かったので。

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バレエ学校に通ったあと、そのままバレエ団に所属する流れになっていったんですか?

自然の流れで所属できたわけではなくて、4年目だったかな、自分で全部マネジメントしてバレエ団と契約したんです。まず写真を撮って、希望のバレエ団に履歴書を送ってからコンタクトをとって、面接スケジュールを調整して、チケットをとってホテルを手配して、行って交渉して帰ってくる、という。

4年住んでいれば、そういうことができてしまうんですね。

はい、最初に契約をいただいたリモージュ歌劇場に所属して『シンデレラ』という作品をやりました。リモージュというのは、本当に何もない小さな街で、ダンサーも芸術監督も全員フランス人でしたけど、もうすっかり慣れていました。パリから派遣されてくるダンサーもいて、みんなでバーにいったりして。

あれ、バレエダンサーってお酒を飲むんですか!?

飲む人は飲みます。

すごくストイックなイメージがあるので驚きました。

日本のバレリーナの子は、堅くてまじめなので、単純に一度決めたら守り通す、という人が多くて、飲まないし遊ばない。フランスのバレリーナは全然違って、もちろん教育はストイックですが、遊ぶ心を知っているんですよね。そこは本当に日本とは違うなと感じた部分です。

人生も楽しむ、と。

楽しんで仕事をする、というのがフランスのモットーなんだと思います。僕がパリのバレエ学校に入ってすぐのころ、たぶんそこに娘さんを通わせているマダムに「君は東京から来たの? 私たちは楽しみながら仕事をするんだけど、あなたたち日本人はすごくまじめにやるんでしょ?」と話しかけられたことがあります。そんなふうに考えたことがなかったから、とっても印象的でした。フランス人は半分ラテン気質なんだなと。逆にスペインやイタリアの人たちほどは遊ばないですけど。

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では竹田さんは、東京ではストイックなダンサーで、フランスに行ってからは半ラテン的に楽しみながら...

いえ、ストイックでした。僕はバレエをはじめたのが17歳だったので、みんなに比べて遅れていたんです。だから国立バレエ学校以外にも、パリの別のクラスを1つ2つ受けていて、本当に毎日顔がこけてしまうまで踊っていました。経験がないぶんやらなければ、とすごくストイックでしたね。

でもフランスは土日は必ずお休みになるので、金曜日の夜から週末はホームパーティーばかりでした。フランスのバレリーナの子たちや国立バレエ団の方たちも集まってきて、まあもう酔っぱらうんです。フランス人は男性も女性もとにかくよく喋って、お昼から集まっても夜まで赤ワインだけでずっとお喋りしているんですね。そのあいだ水も出てこないから、僕なんか喉が渇いちゃって、おなかも減っちゃって。日本人のバレリーナとフランス人のバレリーナは全然違います。

メリハリをつけていたんですね。

はい、だから生活はすごく楽しかったです。帰国してから東京では、オン・オフをつけるのが難しいなと感じています。その点、フランスでは生活の基準が豊というか、優雅だったと思います。自分の時間をしっかりとるし、みんなよく笑って遊んでフレンドリーで、しかも遊ぶのにお金がかからないところがいいですね。その部分がすごく好きでした。

やはり気質の違いでしょうか。

環境もあるかもしれません。フランスは外に出るとすぐに美しい建物があって、そういう環境が普通にラフに座るだけで楽しめる雰囲気をつくりだしているような気がします。

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竹田さんが世界のなかでも惹かれたフレンチバレエについて、フランスのバレエの特徴というのは、どういうものなんですか?

特に基本となる下半身、骨盤から下を正確に確実に何度もトレーニングしていくんです。そうすることで骨盤まわり、足を強くきれいに保てるようになって、それが体や姿勢の土台をつくります。どんな踊りでも土台がしっかりしていると上体に余裕が生まれて、雰囲気や表現の色をつけていけるんです。ちゃんとした土台のうえに優雅さやしなやかさを表現しているのがフレンチスタイルです。

ロシアのバレエの特徴はダイナミックなこと。もちろん基本もやりますが、そこまで重視していないので、細かい動きやつま先の使い方はフランスの方が丁寧できれいで強い踊りになります。ロシアでは、大きな体をつかって、長い手足でワガノワやボリショイにつながる伝統的な踊りで表現するので、今の感覚からするとちょっと古く感じます。アメリカはマクドナルドのイメージのように、ファストでエンタメ的な面があります。

世界のバレエ学校を現地で体感したからこそですね。

いろいろ見たからこそ、フランスのバレエの基本を重視してつくるしっかりした土台と、その上体の優雅さとしなやかさ、という技術の高さに惹かれました。

その基本のトレーニングが、バーオソルですか?

Barre au sol というのは体づくりのひとつです。バレエダンサーの準備運動にあたります。

パリではバレエダンサーだけでなく、一般のかたにも人気だそうですね。

はい、日本のようにヨガやピラティスのスタジオもありますが、ほとんどはダンススタジオです。ダンススタジオの中にはいろんなクラスがあって、バレエやバーオソルのクラスが圧倒的に多いんです。フランスにはあまり流行がないというか、フランス人は日本人のようにブームにのらないので、馴染みのあるバレエやバーオソルがずっと人気なんですね。

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バーオソルも昔からあったんですか?

ヨーロッパでは、5-60年前から行われています。

日本人に比べたら、フランスのかたのほうが圧倒的にバレエに触れる機会も多いですよね。

身近ですね。日本ではバレエはちょっと遠い存在というか、ハードルが高いと思われがちですが、フランスでは映画を観に行くような値段で観られるバレエの舞台もあります。それに大人でもバレエをやってみたいと思ったら、みなさん着るものも髪型も気にせず、自分の持っている動きやすい格好でバレエのクラスを受けに行くんです。

竹田さんは帰国後、日本でバーオソルを広めようと、日本人向けの「床バレエ」を考案されました。バレエダンサーではない、一般のかたがやる魅力はどこにあるんですか?

まずなぜ床バレエをつくったかというと、単純にバーオソルという言葉が日本で覚えられにくかったのもあります。バーオソルは型の決まったトレーニングですが、日本人の体にはキツい、ということもわかりました。ヨーロッパのかたは肉食なので、もともと筋肉がわれわれの2倍くらいあって、疲れにくいし、かなり動ける体質です。

バーオソルは継続してこそ効果があるメソッドなのに、日本人の体には負荷がかかりすぎて、それこそダンサーのようにモチベーションの高い人でないと続けにくいんです。それで日本人の体に合わせて、もう少し優しいところから丁寧にわかりやすくアレンジしたのが、ここで教えている床バレエです。

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生徒さんはどんなかたたちが集まっていますか?

モチベーション高く、キツい負荷も好きで最初の頃から通ってくれている生徒さんもいるし、最近は、子どもの頃からバレエに憧れていて、チャンスがないまま大人になってしまったけれど、「床」という言葉がつくだけで私にもできるかもと思った、というかたがけっこういます。あとはシニアのかたでリハビリのためにやっていて、バレエを踊った気持ちになるから楽しくて続けやすい、というお声も聞きますね。

僕は自分で床バレエのレッスンをするだけではなくて、インストラクターの養成にも力をいれていて、よりたくさんのかたに床バレエを広めたいと思ってやっています。

いまご自身のスタジオもオープンされて、メディアにも出られていて、すごくお忙しくご活躍ですが、フランスには行かれていますか?

帰国して5年になりますが、毎年2-3回は行っていて、一昨年はパリの劇場で自分でプロデュースさせていただいた公演も行いました。最近は、床バレエのスタジオのオープンに向けて忙しかったので行けていませんが、また行きたいです。

そんなフランスという国は竹田さんにとってどういうところでしょうか?

自由な国。縛られずなんでもOK。いろんな意味でめちゃくちゃ自由なので、全身の詰まったものが解放される感じです。

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Jun Takeda(バレエダンサー/床バレエ講師)
静岡県生まれ。17歳でバレエをはじめ、高校卒業後、東京バレエ団に入団。20歳で単身渡仏し、パリの国立バレエ学校で学ぶ。2006年、フランス・ビアリッツ国際コンクールのパ・ド・ドゥ部門で銅メダルを獲得。その後、フランスのリモージュ歌劇場、スペインのDAVID-CAMPOSバレエ団、スロバキア国立劇場、オランダ国立劇場などのバレエ団に所属し、さまざまな舞台に出演。帰国後はバレエダンサーとして舞台出演する一方で、バレエを基にしたエクササイズ本・DVDを次々と発刊。『1日10分でやせられる バーオソル・ダイエットDVD BOOKーバレエダンサーのしなやかな身体の秘密ー』(講談社)は、日本人がメインで出演するDVDとして初めて国立パリ・オペラ座ガルニエ宮で販売される。最新著書は『1分!美尻立ちダイエット』(学研プラス)。現在「美尻王子」としてさまざまなメディアにも出演し、独自のダイエット・エクササイズを紹介するほか、自ら考案した「床バレエ」の指導者として活動している。

竹田純オフィシャルブログ https://ameblo.jp/juntakeda

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